魁星 (Kaisei)

──誰も知らない英雄(アンサング・ヒーロー)

この世界で唯一の、人間と怪奇の混血の青年。
さざ波の悪影響を一切受けない、たった二人のうちの一人。
外見は一見見分けがつかないほど、隅々まで人間そっくり…というか人間そのものである。一切の傷跡が残らないことを除いては。

本作の主人公。人間で言うと16歳だか、肉体を基準に考えればもうかなりの年月を生きている。

恥ずかしがりで、弱弱しく、臆病な言葉遣い。自分を「僕」と呼称するのですら憚られるようである。セイガのことはそのまま名前で呼び捨てているが、そちらのほうが自分よりも成熟している気がして、思わずさん付けで呼びそうになる。⇒どこか大人びた言葉遣いではあるものの、その見た目に反して非常に優しさが篭っている。自分のことを普通に「僕」と呼ぶ。

一人称は僕。但し、素顔でいるときは憚られる。

セイガと一緒に過ごすことがささやかな幸せ。
甘党。大量に砂糖を入れないとコーヒーが飲めない。

自分の顔を見られることにとてつもない恐怖を感じている。
また孤独になること、セイガを失うことを心の底から恐れている。。

周囲からは兄さん(セイガ・少年期、再会時は兄貴、兄さんと呼んだりカイと呼んだり心が揺れるも、最終的にカイと呼ぶようになる(兄として、カイが心を委ねられる存在でありたいと強く思ったため)、カイくん(アリア)、カイちゃん(イザベラ)、怪(シンキ)、魁星(レリシス)

手をゆっくりと繊細に動かすことが癖になっている。また、時々舌を噛んで血を出し、自分自身でその味を感じている。
人間を好んで喰らう、怪奇の血が混じっているため。
常に人間を喰らいたい欲があるわけでは無いが、時折それに襲われることがあり、自分の血の中に混じった人間の味で抑えている。

ちなみに、怪奇であろうと普通は血抜きして食べるので、彼はそもそも血の味が好きなようだ。

性格は臆病で気弱、非常に自意識過剰だが、それがだんだんと自分が自分であるという確信と決意に変わっていく。

リネがセイガを授かってから暫くの後、夫のレリシスは失踪し、代わりに残ったのが、人間の皮をかぶった化け物のカイであった。
怪奇の血が混じっているため体の成長が遅く、失踪直前には、セイガとは(7)歳近く年齢差があるように見えた(このことから、実は想像以上に長い年月を既に生きている)。
幼少期、リネから虐待を受けていた。
ろくな教育を受けられなかった。
一緒にいてくれる優しい兄とは引きはがされ、暗く狭い部屋に閉じ込められた。
僅かな光をたよりに、絵を描いていた。
飯も、ほとんど与えられなかった。あっても残飯だった。
リネから見たカイは、夫が、勝手にこしらえてよこしてきた、心底気持ちの悪い化け物にほかならなかった。
だから、セイガだけを大切に扱い、カイを嫌悪するのも、仕方のないことであった。
それでも、このことは、カイの心の底を深く、大きくえぐった。

ある時、遂に鬱屈が頂点に達し、カイはリネに殴られ、蹴られ、叩きつけられ、首を絞められた。セイガは遂に決意を固め、咄嗟に間に入り、リネに包丁を向けた。
しかし、既にリネの包丁はこちらに向かって襲いかかってきていた。
カイは咄嗟にセイガをかばい、包丁で刺された。
正に、地獄そのものだった。
カイは鮮血を吹いて倒れ、その血はセイガをとめどなく濡らした。
しかし、セイガの時が動き出す前に、カイは蘇った。
どれだけ鮮血を吹いても、原型をとどめないところまでぐちゃぐちゃにされても、その体は憎たらしいほど綺麗に蘇った。
そしてその血肉は、リネに襲いかかった。
もはや、世界の時間は止まっていた。
カイの時間だけが、動いていたのだ。

気がつくと、カイは綺麗なパジャマを着せられ、兄の膝の上で眠っていた。
なにがあったかを瞬時に思い出したカイ。
自分が、兄の心の片割れを、かけがえの無いものを殺してしまったのだということ。
それを即座に理解したセイガは、カイをひしと抱きしめた。
「悪くない… 悪くない…
だれも、悪くないんだ…」
そのまま真昼の風は穏やかに通り過ぎてゆき、夜が訪れた。
「カイ

逃げよう」
セイガは、後ろにリュックを、前に眠りについたカイをかかえて、家に鍵をかけて駆けて行った。
この先、再び離れ離れになり、カイはずっと未来のプリズンへ、セイガは()

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ある時、セイガが失踪した。
リネは、悲しみと絶望に打ちひしがれた。
夫もいなくなり、セイガが、唯一残った大切な存在であったからだ。
このヘイトは、カイに向かった。
カイは、何も悪いことをしていないのに。
カイは、殴られ、蹴られ、叩きつけられ、首を絞められ、包丁で刺された。
それでも、死ねなかった。
正に、地獄そのものだった。
どれだけ鮮血を吹いても、原型をとどめないところまでぐちゃぐちゃにされても、その体は憎たらしいほど綺麗に蘇った。
最終的にリネは自殺し、カイは未来へと転送された。
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未来へと転送されたカイは、プリズンの第四層で倒れていた。
親切な者が彼を拾い、最終的に孤児院にて保護された。
当時の彼は、8歳ほどの外見であったので、初等学校二年生と同様に扱われた。精神的な異常が認められ、発語が乏しく、教育をほとんど受けてこなかった為、特別支援学級へと通い出した。
但し、痩せてはいたものの、身体のみ異常が無く、わりと健康であったことは奇妙に思われた。
話を聞いてくれる人がそばにおり、
誰も手を付けていない、暖かくておいしい飯を食べられるようになり、
絵を、いままでよりもずっと明るい場所で描けるようになった。
ようやく、人間として、よい生活に身を委ねられるように思われた。
しかし、そうはならなかった。
驚くべきことに、彼の頭脳は、非常に優秀であった。
通い出して暫くの内にまともな言葉を話せるようになり、難しい文字も意味を理解し、算数も理解した。
したがって、特別支援学級を抜け、普通学級へ通いはじめた。

数日の内に、彼は部外者扱いされ、避けられるようになった。
やがて、彼のことをからかい、嘲り笑う者たちが現れた。
あるとき、同級生のひとりが、憂さ晴らしに彼を殴った。
彼は涙も見せず、ただ茫然と立ちつくすばかりであった。
彼が反撃してこないことを知った者たちは、次々に彼を標的にしだした。
特定の敵が出来ると、人々は急に団結しやすくなる。
やがて、彼の周囲の物達の大半が、彼を標的にするようになった。
彼を救おうとすると自分までいじめられるので、彼に実際に手をさしのべる者は現れなかった。
大人たちは、黙りこくっていた。

そのまま中等学校へ進学した。
思春期に入った彼は、自分が男性を好きだということに気づいた。
これがばれ、益々気持ち悪がられ、いじめの対象にされることを、彼は恐れた。
ただひとり、心の底から信頼していた友人にだけ、ぽつりとつぶやいただけだった。
しかし、次の日にはもう、学校中がそのことを知っていた。
友人だと思っていたものは、最初から、周囲の仲間に過ぎなかった。
彼は、ますますいじめられた。
服を脱がされ、陰毛を剃られた。

彼は、自分を呪った。
傷一つ残らない気持ち悪い肉体を、男が好きな心を、呪った。

絵だけは、彼を慰めてくれていた。
けれど、それももう、限界だった。

学校にも孤児院にも、救いはなかった。

彼は、かねてより何度も自殺をした。
首吊り、飛び降り、なんでもやった。

けれど、死ねなかった。
人間ならとっくに死んでいるような状態でも、死ねなかった。
リネにぐちゃぐちゃにされたあの時と、何も変わっていなかった。
ただ、限りなく苦しいだけだった。

あるとき遂に、彼は逃走を決意した。
荷造りをして、夜中に孤児院の窓を出た。
誰も彼のことを気に留めていなかった。もし気づいたとしても、わざわざ話しかけはしなかったであろうが。
最早、心は空であった。
何かに引き寄せられるようにして、ひたすらに走った。
繁華街を、駆け抜けた。
暗い裏路地を、駆け抜けた。
バイパス線路の上を、駆け抜けた。
足だけで、立ち入り禁止の一層まで登ってきたのだ。
ぎざぎざの安全柵の先、最上層の第一層は、既に朽ちた波に浸食され、人間はおらず、廃墟によって埋もれた場所であった。
彼は、吸い寄せられるままにその柵を超え、朽ちた波のなかに入っていった。
勿論、死ねなかった。
けれど、案の定、ここに立ち入る人間は、なかった。
そもそも、彼が失踪したからといって、わざわざ探す人間が、独りでもいただろうか?
代替品は、幾らでも転がっている。
また、新たな標的を作ればいいだけのことだった。
従って、彼らは、いつの間にかいなくなった彼のことなどすっかり忘れた。
ここにいれば、もう、いじめられることもなかった。
もう、傷つかずに済んだ。
ようやく、彼はひとりになれたのだ。

人との関わりを断ち、既に荒廃した第一層でひとり、絵描きと彫刻に耽っている。

たったひとりで暮らしていた。
いや、もはや「暮らしていた」と言えるのかすら怪しい。
かろうじて生きてはいたが、もう死んでいたも同然だった。
”仕事”で手に入れた干し肉さえもほぼ飲み込むことはなく、2,3日に一度、ごく少量を口に含む程度だった。

彼には、どんなドラッグも効かない。
自殺しようとしても、過剰に丈夫な肉体ゆえに絶対に死ぬことができない。
いくら傷つけても血を流してもすぐに塞がるその身体に、彼は心底気持ち悪さを感じていた。
血筋によって「死」という救済すら奪い取った怪奇も、自分を虐待した人間も好いていなかったが、それでも本心では人間に憧れていた。

自分自身が混血であることを嫌い、過剰な自意識から「普通の人間のレール」から逸脱する自分を許容できなかった。
必死で人間を装い、コートを着込んで周囲と同じ速さで歩こうとしても、常に仮面が半分ずれているような違和感を撒き散らしてしまう。
他人と関わろうとすれば過剰な自分ツッコミやサービス精神に走り、奇異の目で見られ、さらに深い自己嫌悪へと堕ちていく。

本当の自分から逃げ続けながら、絶望と恐怖の悪夢に苦しむ日々。
ずっと「誰か強い人が自分を外へ連れ出し、否応なしに幸福にしてくれないか」と夢の中に生きていた。

そんな彼の前に現れたのが、あの少年、セイガであった。
出会った頃から不思議な懐かしさを感じ、何をするまでもなく最初からお互いを信頼し合っている存在。
記憶喪失中のカイが理解しているのは「カイ」という名と、自分の異常な回復力、そして何故か「朽ちた波」の影響を受けないことだけである。

繊細で傷つきやすく、妙な物に好かれやすい感受性の持ち主。
普段は不安に満ちた表情をしているが、イーゼルの上のキャンバスに向かい合っている時だけは違った。
意志と知性に満ちたおとなの顔、芸術家の顔だった。朽ちた波の美しさに魅了されながら自己表現に喜びを見出していた。
絵を描いている時間だけ、一番苦手な「本当の自分」になれている気がした。

物静かだが思春期真っ盛りの彼は、セイガに恋をする。
懐かしい感覚とともに訪れる、心臓のときめきと口中の渇き。
恋によって視界が開けると同時に、自身の醜さとセイガの美しさを比較して絶望し、葛藤する。
男性、それも幼い少年への恋心を封じ込めようと抗いながらも、芽生えた母性から甲斐甲斐しくセイガの世話を焼くことで、誰かに必要とされる歓びを感じていた。

セイガとの関係は、彼にとって誇り高く守るべき宝であり、同時に重荷でもあった。
実ることのない片思い。家族としての関係。
小さな幸せの輪郭の中で、カイは常に切なさを抱き締めながら生きている。

しかし、終わりゆく世界を眼下に過ごす穏やかな日常も、そう長くは続かなかった。

本名:薄波 魁霽(さざなみ かいせい)
裏名:碧瑠覡仁魁(へきりゅうげん じんかい)
二ツ名:誰も知らない英雄
旧名:怪
仮名:迦、恢、淮、匯、鉞、漑

人外

(シンボル:鈴蘭(悲しみ、心の痛み、憂鬱、報われない愛))

「ぼくは、かいぶつに、なりたくないのに」

死なせてくれよ。
食に飢えさせてくれよ。
腐らせてくれよ。
ぼくのことを、傷つかせてくれよ。
ぼくは、自分が本当に生きているのかすらわからない。

自分が生きているのか死んでいるのか いつも良く分からなくなるけど 死体を解体していると いつも 勇気が出るんだ。

「最悪の敵手は、自分」

「俺は、人間が好きだ。

孤独な人間として、戦いたい」

誰も知らない英雄(アンサング・ヒーロー)。

解離性健忘を患っている。
リネからの監禁、虐待、学校でのいじめといった、一人で暮らす前の辛い記憶の大部分がすっかり抜け落ちている。
但し、対人恐怖などの症状ははっきりと残っている。記憶が抜けているので、本人は自分が対人恐怖である理由をわかることが出来ずに苦しんでいる。

現在の彼は、辛い記憶が抜け落ちた隙間に夢の中での記憶が入り込んでいるため、虐待されていた時に夢で見ただけの、兄との楽しい思い出なども本当にあったものだと思っている(実際、夢の中の記憶なので、背景がぐしゃぐしゃであったり、なかったりするが、それでも本物と認識してしまっている)。

稀に、些細なきっかけでトラウマがフラッシュバックすることがあり、自分が誰なのかわからなくなる。ひどい頭痛がし、気持ち悪く、吐いてしまうこともある。

段々と、段々と現実の自分と夢(精神世界)の自分との区別がつくようになっていき、最終的に全てを思い出す。
リネから虐待され、狭い部屋に閉じ込められ、一回も外に出してもらえず、碌な飯も与えられず、もはや涙も枯れていたこと。

昼間、カーテンの隙間から差し込むわずかな光を頼りに絵を描いていたこと。
それが、自分でできる唯一の心の慰めであったこと。

たまに、優しい兄が母親の目を盗んで鍵を開け、部屋に来てくれたこと。

兄は、美味しいご飯をくれて、お菓子もくれて、本も読んでくれたこと。

クレヨンや色鉛筆や紙を、少ないお小遣いで買って来てくれていたこと。

母親の前では嘘をつき、本当は、自分と一緒にいたがっていたこと。

何度も謝りながら、抱きしめてくれたこと。

無理に笑顔を作って、自分には涙を一切見せなかったこと。

扉を閉めた後で、息を切らして泣いていたこと。

自分も、兄が大好きだったこと。

兄と、ずっと一緒にいたかったということ。

兄が部屋からでていくとき、潰れそうなくらい辛かったということ。

だから、カイは、自分の精神世界に兄の虚像を作った。
夢の中で、兄の虚像と、ずっと一緒にいた。
まあ、ちょくちょく本物通りとは言えないところもあったが、そんなことは、全く気にやしなかった。
夢の中の彼は、幸せだった。
大好きな兄と、目が覚めない限りはずっと一緒にいられたからだ。

だから、段々と、夢のほうを現実だと思い込むようになった。

夢のカイが、現実のカイを侵食し始めていた。

寝ると、精神だけが夢の世界に飛ぶ。
稀に、体ごと飛んでしまうこともある。

人との関わりを断ち、既に荒廃した第一層でひとり、絵描きと彫刻に耽る青年。

物語中唯一の、人間と怪奇の混血。
外見は人間そっくりである。一見見分けがつかない。
セイガの腹違いの弟。
かつては共に暮らし、セイガが世話をしていた。

たったひとりで、暮らしていた。

いや、もはや、暮らしていたと言えるのかすら怪しい。

かろうじて生きていたが、もう死んでいたも同然だった。

ご飯なんて、人の干し肉以外、ずっと食べていなかった。
干し肉でさえも2,3日に一度ごく少量を口に入れる程度だっだ。

ときどき無意識のうちに手が動いて、描きあがるころにはもう立っても居られなくなって、そのまま寝込んだ。

ずっとぼうっとして、物なんて考えられなかった。

ドラッグも、効かない。

自殺しようとしても、できない。

傷は、すぐにふさがる。

血が噴き出しても、身体の奥底からいくらでも新しく湧き出してくる。

死ねない。死ねない。

こんなに長いこと何も食べていなくても、死なない。

悪夢に、ずっと苦しめられていた。

意味の解らない、不思議な夢だった。

リネから、虐待を受けていた。
セイガと引き離され、狭い部屋に閉じ込められて、碌に飯も与えられなかった。
兄は、

内気な娘のように、だれか自分より強い勇気のある人が自分を連れに来て、引っ張っていき、否応なしに幸福にしてくれたらと、じっと座って待っていた。

現実よりも、夢の中に生きていた。夢を見る傾向の強い混血だった。

物凄く自意識が強く、それによって几帳面であった。

彼ほど傷つきやすい恥ずかしがりもなかった。

そこに現れたのが、叙情的で、成熟していて、サイコパス気質のセイガであった。

記憶喪失中で、自分のことに関しては、カイという名前と、体が丈夫でどんな怪我でもすぐに回復出来ることと、(何故か朽ちた波の影響を受けないということ)しか理解出来ていない。
怪奇に関しては、そんな存在がいることは何処かで聴いたことがあり、自分がそれとの混血あるからこうなのだということをわかっているのみ。

妙な物に好かれやすい。

センシティブ。非常に感受性が豊か。
つまり、精神的に追い込まれやすい。そこで打開できなければ、鬱になったり死んでしまったりする。
自分のことを気が弱いと捉えている。
芸術家。人間であることの屈辱、悔しさ、絶望。自己表現をすることに喜びを感じる。
朽ちた波の美しさに魅了されている。
スケッチをしている時の彼の顔は、いつもの不安に満ちた顔とは異なっていた。おとなの顔、学者の顔、芸術家の顔であった。それほどえれそうで、意志に満ちており、異様に明るく冷静で、心得た目をしていた。
絵を描いている時だけは、一番苦手な自分になりきれている気がした。

物静かな青年だが、思春期真っ盛りである。

セイガに恋する。懐かしい感覚を覚えたと同時に、節々のわななきと心臓のときめきと口中の渇きを感じた。

恋によって視界が開き、自身の醜さに気づき、セイガの美しさと比較して葛藤する。

セイガに惚れれば惚れるほど、喜びと同時に心配や不安が湧き出す。
片思いだから、自分自身との戦いなのだ。

ゲイであるが故の母性本能をもち、セイガの世話をよく焼く。
つまり、他社から必要とされることを快感に感じるのだ。

当初は、自意識により、セイガを好きになった自分のことを許容していなかった(精神的に成熟しているとはいえ身体的にはまだ幼く、ましては男児であったから)。

自身が人間と怪奇の混血であることを理解しているが、彼自身はそんな自分のことを大いに嫌っていた。

自意識過剰な彼は、人間としての当たり前から逸脱する自分、人間としてのレールに乗ることが出来ない自分を許容できなかった。
従って、できる限り自分の怪奇的な面を出さないように、と耐え忍んでいた。
だから、男を好きだ、少年を好きだと思う気持ちには、蓋をして封じ込めた。
過剰に丈夫な肉体も嫌いで、幾度自傷に走ったかわからない。
どれだけ血を流しても、どれだけ深くえぐっても傷一つ残らない肉体に、心底気持ち悪くなった。

できる限りの努力をして、人間を装った。
地味な服を着て、強烈な違和感を封じ込めようとした。周囲と同じ速さで街を歩いた。
それでも、うまくいかなかった。
どれだけ人間を装おうとも、常に仮面が半分ずれているようで、違和感を撒き散らし、痛い姿を晒し、周囲から奇異の目で見られ、浮いてしまうばかりであった。

そんな自分を許せるわけもなく、更に深い自己嫌悪に陥っていった。

この気持ち悪い体のせいで、自殺しようとしてもできなかった。ほとんど不死身のようなものなのだ。

人間のふりをしようとして、人間になりきれない。

ずっと、自分から逃げ続けた。
なぜなら、一番苦手な装いは、本当の自分、なのだから。

他人と関わろうとすると、過剰な自分ツッコミやサービス精神で不細工なおかしい奴として見られてしまうことか多い。

自分をいじめた人間のことも、「死」という救済を奪い取った怪奇のことも、どちらも好いていなかった。
けれど、本心では、人間にあこがれていた。

セイガとの関係は、カイにとっては、あるときは誇りをもって守るべき宝であり、またある時は重荷であった。

勿論セイガのことを大いに愛していたが、びくびくさせられることも多かった。

セイガにはほとんど恋愛感情が無かったが、カイには勿論あった。

実ることのない恋。

飽くまでも家族としての関係。

カイは、小さな幸せの中、内心では常にせつなさを感じていた。

何かの折に、孤独だなあ、と、言いようのない寂しさを感じることがある。
それを感じ取ったセイガは語った。
「(察して、無言で側に寄る)

、、、ごめんな、気遣わせて。

へんだね、それって。

、、、え?

だって、ぼくたち、産まれるときはひとりだし、死ぬときだってひとりだから

、、、

それがふつうなら、さみしいっておかしいよ

、、、

、、、ぼくは、ひとりじゃあぜんたいになれないからだとおもってる

ぼくたち、まるでそれぞれが一つのかたまりみたいだけれど、本当はそうじゃないんじゃないかなあ」

「兄ちゃん、ごまかしとか嘘ばっかりのところに入っていくの、すごくいやでしょ?傷つくってわかってるから

、、、ああ。

だから、ひとりになっちゃう気がして、さみしいんだよ。

だったら、その前に、じぶんからひとりになっちゃえばいいんじゃない?

だって、今の兄ちゃん、俺はひとりっきりみたいなふりしてるけど、全然ひとりっきりじゃないよ」

セイガの物事の本質を貫いた意見によって、少しづつ自身について理解し、成長していく。

他人にコスプレする(自分を消去する)ことをしない限り、自分でいられない。
分裂した自己の切り替えが物凄く下手なので、儀式をえないと自意識の檻から抜け出せない。
その為、常に顔を奇怪に飾り付け、素顔で過ごすことを極端に嫌がる。
自意識の檻から抜け出して初めて、自身の中にある燻りをキャンバスにぶつけられるのだ。

その姿はかの「暴君の演過し」のようで、一点の機智も風雅も見出し得ない。
その事実に、周囲の人々は深くうたれる。
顔と首筋は血に汚れ、裂傷があちらこちらを覆っている。

毒々しく、醜いその姿は、自由で素敵だ。

当初は、様々な自己嫌悪に苛まれていた。
つまり、自分を甘やかしていた。
自分を無にするわけでも、徹底的に自分と戦うわけでもない。ものすごく中途半端だった。

臆病な自尊心と尊大な羞恥心を持ち合わせ、己が己でなくなることを恐れた結果、人と遠ざかり、憤り、悶え、恥じによって、益々自身の内なる臆病な自尊心をかいふとらせる結果になった。

セイガに依存していた。つまり、自分が負うべき責任から逃げていたのだ。

彼は、ずっと満たされていなかった。

常に何かを渇望していたが、それが何なのか、自分ですらもわかっていなかった。

ようやく、わかったよ。

俺は、自分の人生の責任を全て自分で負わない限り、けっして満足出来ないタチなんだと。

だから、あるとき自分を否定した。叩き潰した。多くのものに依存し、甘え、逃げ続けていた自分をぶちのめした。あるがままの自分を見て、それと猛烈に戦い始めた。

一番苦手で逃げ続けていた自分と、対峙した。

セイガを人間として見られない限りは成長出来ないことに気づき、自立出来るように努力し始めた。

自身の未熟を決意し、それを前提として生きるようになった。

人間は弱く、安全で自分に有利な方に進んでしまうから、逆に、マイナスな、危険な方向を走ることを決めた。

長らくあった自己嫌悪が、初めて吹き飛んだ。

自分を否定することで、初めて満ち足りた。

生命を滾らせるには、孤独になるほかに手段は無い。生命を滾らせていれば、自然に孤独になる。

孤独を受け入れた彼は、熾烈な批判や誤解を浴びて、毎日を引き裂かれるような痛みと共に、一人で闘って生きるようになった。

肉体的にも精神的にも、他からの制約を誰よりも鋭く感じ、傷つきながら、なお絶望的に戦っていった。

孤独になった彼は、自意識の檻を破壊した。
したがって、以前のような儀式を得ずとも、素顔の状態で己を曝け出せるようになった。
孤独になることは、自意識の檻を自ら破壊し、己を解き放つ手段の一つだ。

自分の人生の責任は全て自分で負うと宣言した以上、あらゆる災いは己の身に降りかかる。
徹底的に、残酷なまでに責任を取らなければならない。
人に寄りかかったり、同情を求めることなど金輪際できない。
もしも責任を果たせなければ、一気に社会的信用を失い、笑い者にされてしまう。

己自身に対しては残酷で批判的で、つまり謙虚でなければならない。謙虚とは、本来他人に向けるものではなく、自分に対して向けるべきものだ。
何であっても、まず飛び出し、自分の責任において、全てを引き受けるべきである。
勿論、容易なことではない。
ある敵と戦っていると、予想だにしない方向から、例えば味方だと思っていた側からチョッカイをかけられることもある。
それでも、決してめげてはならないのだ。

純粋であればあるほど、敗れる。
しかし、敗れるとわかっていても、己を貫きたい。
人知れずに戦って、敗れて、埋もれたっていい。
あえて、己の信念のために、貫きたい。
丸くなんてなるものか。尖っていたい。ギラついていたい。戦っていたい。
そういう人間が、俺は大好きだ。
だから、俺も、そうありたい。

「絵描き?」違う。「一匹狼」、、、屈辱的だ。何故、俺をわざわざ狭い形式にはめようとする?
そうか、そうすれば、世間は安心して許すからだ。
巫山戯るな。
許されてなるものか。

世の中の不純なものに、余程の精神力を持って対応しない限り、己の純粋さは保てない。
それでも、俺は誤魔化さない。貫きたい。

大切なことは、他人を負かすなんてけちくさいことじゃない。己に打ち勝ち、己を貫くことだ。

人間とのなれ合いを、断絶する。
自らの運命を背負って孤独に戦うその姿は、高貴だ。
その生き様に、俺は、どんなつながりよりも深い、命のつながりを感じるんだ。

これまで、どうして気づけなかったんだろう。

こんなにも、世界は残酷であることに。

どうして、あんなに怖気づいていたんだろう。

今の俺は、これまでの人生で、一番幸せだ。

こんなにも、自分が生きていることを、なまに感じられるだなんて。

こんなにも、血を吹き出しながら、引き裂かれるような痛みに襲われながら、生きて行けるだなんて。

孤独な毎日が、こんなにも、美しい生命の喜びに満ち溢れているなんて!!

こんなふうに無謀をやっていたら滅びてしまう。それが常識だ。
けれど不思議なもので、「お前らは勝手にしやがれ」と突放して思う通りにやっていると、逆に向こうから近づいてくる。
そこで少しでも気を許してこちらからのよりかかるような気配を見せれば、さっと逃げていく。そんなものだ。

人間同士で馴れ合って、甘え合って、己の純粋さを保てる筈が無い。
だから、俺は馴れ合いは大嫌いだ。
俺も孤独なら、お前も孤独。
時折、それを確認し合って、心が触れ合う。
そういう関係が、俺は大好きだ。

彼は、純粋だ。
セイガは、単に脳に障害があるだけ。空虚で、空っぽだ。
カイは、真の意味で純粋だ。
誤魔化しが、許せない。
体制側と、それにちゃっかり順応する者同士の化かし合い。それに、参加出来ない。
だから、彼は孤独だ。出る杭は打たれる。
彼は、常に打たれている。辛くて、何度自殺しようと思ったかはわからない。
あらゆる場所で、孤独な出る釘であった。
たった一人で、孤独に戦う。
誤魔化し合う卑しい周囲と、ぶちのめされる弱い自分と、戦う。
それが、彼が生涯を通して背負う運命である。

純粋な彼にとって、人生は悲劇そのものだ。
純粋であればあるほど、人生は悲劇なのだ。
人間は全て、矛盾の中に生きている。だから、その矛盾に絶望し、落ち込むのだ。
だから、矛盾した心を持たないセイガに、この上なく憧れた。
しかし、それは「逃げ」だ。
そして、セイガを神格化して崇めている限り、カイは決して大人になれない。
これに気づいたカイは、長い時間悩んだ後、セイガと別れ、自立することを決意した。
結局、ここに来てまでもなお逃げようとしていた。甘えていた。人間は、空っぽの虚無に打ち勝たなければならないのに。
矛盾と共に、生きていかなければならない。
そこから逃げては、駄目だ。

セイガの美しさ、自らの美しさ、朽ちた波(レリシス)の美しさに魅了されている。
命がひらき、高揚する。

絵や彫刻は、人生の一部に過ぎない。崇めたって、深刻がったって、ふんぞり返ったって、絵は絵、彫刻は彫刻なのだ。

彼は、セイガと何度もぶつかった。この上なく真剣だった。お互い、強烈に生きていた。セイガに、肉体関係以上に、人間同士として、強烈な愛情を抱いていた。
純粋で無条件な一体感だ。
だから、セイガが消えたとき、すぐに家を飛び出したんだ。

子供だろうがなんだろうが、一人の人間としてまともに向き合うべきだと考えている。
そのため、子供に対しても真剣に語る姿が、周囲からは奇特に見られることがある。

成長し、孤独を決意した彼の生き方は、誰もが模倣出来るものではない(それが出来ない人間(わたし含め)も受け容れるような物語のつくりにしなければならない)。
しかし、孤独を背負うことに限らず、自分のスジを1本通すこと。それを死ぬまで貫き通すことが大事なのだ。

声が一段と低く、落ち着いた口調で話す。

セイガの弟にあたる。
内向的(何かあったときに、まず自分に原因があったのではと考える。)。理想型。自分の理想が全て。抽象的。
自分の中の正義、理想を持ち、他人はほとんど理解出来ないし、誰もが簡単に取り入れられる物ではないけれど、それに向かって努力しなければならないと考えている。
それを誰かに理解してほしい、他人にわかってほしいといつも思っている。
その正義、理想を、セイガの中に見ている。
セイガの世話をしながらも、彼を仰ぎ、尊敬の念を持っている。
周囲のことを師匠か弟子か敵かとしてしか捉えられない。
相手のことを好きになったら、その相手の全てを好きにならなければと考えてしまう。
セイガが好きな物事の全てを好きにならなければと考えてしまう。
修行僧のような恋愛をする。

大変巨大な理想のビジョンがあるので、余裕が出来ると、自分の周囲を自分が本当に認めたもの(周囲、社会から見た価値評価とは関係なく)のみで固めようとする。

自分が何かが出来るようになることに喜びを感じるので、一人で何かをしていることが多い。

黒髪。細身で筋肉質。
黒い靴、黒いパンツに黒いベルト、裸の上に黒いコートを着用している。
手には黒い手袋をはめ、その上から更にレザーナックルをはめている。
(顔を黒い布で覆っているが、その下にはピエロの化粧が隠れている。
青白い白粉にグレーのシェーディング、血のように赤黒いルージュを持ち歩いて使用している。)
第一層にいるとき、世界堂に居る時以外はフードや布で顔を隠している。本来ならセイガにも顔を隠すつもりでいたが、顔を隠していないときにセイガの頬に触れセイガが目覚めてしまったことで、彼の前では顔を隠す意味がなくなってしまった。しかし、そのこと(素顔のカイを受け容れてくれる存在がそばにいること)が後に救いにもなった。
臍にピアスを開けている。
シャワーを浴びるときにメイクは落ちるが、それでも頭にタオルをかけて過ごす。他人に顔を見られるだけでなく、鏡などを通じて自分の顔が視界に入るのも嫌なようである(家にいるときもタオルをかけているのは、セイガに顔を見せたくないからではなく、自分自身がその顔を見たくないからである)。
寝ている時も布を顔にかけている為、まるで死人のようである。

人前では「何でも屋だ」と名乗り、実際、顔を見せずに一人で出来る仕事なら何でも請負う。
代筆、運送、警備、清掃、など様々であるが、その実態はほぼ殺人依頼である。

死体を現場に残す依頼と残さず処理する依頼があり、処理する依頼の場合、解体して食用に肉を残し、骨や皮膚、内臓を捨てる。

また、もう命の長くない人や、死を望んでいる人を快楽とともに殺してあげる仕事、諸事情により人生に絶望したした者に対する救済としての安楽殺人も行っている(正にチラーである)。
政府が社会保障の一環として安楽死テラスを設置していてもなお、それを享受できない者や、それを利用できる人であっても自らの話を聞いて欲しい人、死ぬ前に一度でもいいから救われた気持になりたい人等には一定の需要があるらしい。
報酬は前払い、あるいは死後、自らの死体を彼の食料として提供することに同意した場合は無料である(依頼者が自由に選択できる)。
彼は彼自身のことは語らないが、他人の身の上話であれば喜んで聞いてくれる。普通であれば鼻で笑われてしまうような内容であっても、当の本人が真剣であればそれだけの真剣さをもって誠実に向き合ってくれる。彼の語り口はどこまでも優しく、依頼者は本当に救われた気持になるのだという。老若男女問わず、最後には彼の腕の中で抱かれているのだ。眠りにつくように静かに息を引き取らせるか、あるいは快楽の絶頂の中で死に至らしめるかは彼がその当人に合った方法を総合的に判断して選択する。しかしいずれにせよ、被験者が死ぬその瞬間に、彼は必ずその人の血を吸う(これは契約条項に含まれている)。彼は人間と怪奇の混血であるが、その性質は吸血鬼に似たものがあり、この吸血という行為は彼はじめ吸血鬼の血の混じった者たちにとってセックスの代替行為である。食事のたびにセックスしているのと同じなのだ。そもそも口が原始的な性器で在る以上吸血鬼に限らず全ての生物の食事というのは性行為の代替なのであるが、そこの部分を哲学的に掘り下げた存在が吸血鬼なのである。吸血鬼とはそういう存在なのだ。
吸血しながらの殺害と言うと一聞苦痛を伴いそうであるが、不思議なことに実際にはまったく苦痛を抱くこと無く、むしろ吸血を気持ちよくすら感じるのだという。いずれにせよ、依頼者が肉体的にも精神的にも最も安楽に死ねる方法で死に至らしめる。
因みに、途中で気が変わって生きたくなった場合、あるいは予定を先延ばしにしたくなった場合は言えば大丈夫である。前金も全額返金してくれるなど知れば知るほど良心的である。

殺人鬼(チラー)であるが故にとんでもないサイコパスだと思われがちだが、実は物凄く優しい。他人を思いやり、大事に出来る。
勿論、ある程度のサイコパス味はあるが。
セイガの方が余程のサイコパスである。

彼が人肉を食らう理由↓
人間を好んで喰らう、怪奇の血が混じっているため。
常に人間を喰らいたい欲があるわけでは無いが、時折それに襲われることがあり、自分の血の中に混じった人間の味で抑えている。それでも抑えられない場合はこっそりお手製のジャーキーを食べている。
ちなみに、怪奇であろうと普通は血抜きして食べるのが、彼は血ごと干している。そもそも血の味が好きなようだ。

”人間の形をした怪奇”という、人間と怪奇のどちらにも成り切れない、まともに生きることすら出来ない自分に対し、心底嫌悪感を抱いている。
但し、大多数の怪奇のように極端に人間を嫌悪したり、恨んだりしている訳では無い。
人間のことも怪奇のことも、同じくらいに心底嫌悪している。
殺人鬼として生きているのは、
怪奇である為に身体能力は異常に高く、脊髄を完全に破壊し、身体から分離されない限りは死ぬことが無い。
身体の一部が吹き飛んでも直ぐに再生し、
彼自身、過酷な経験を繰り返す内に負傷への抵抗が消え失せ、現在では自ら腹を刺したり腕を切り取ることもあるくらいであるが、セイガと出会ってからは、脳が損傷することに関しては恐怖心が芽生えている(セイガとの記憶を失いたくないため←初めて失いたくないものが生じた)。
異界の言語は人間のものとは異なる為、(カイという名前はセイガが名づけたものである。)この名は、朽ちた波になる前の最期の人間としての言葉(遺言)として父なるレリシスが付けたものである。
セイガを見た瞬間に芽生えた感情の正体が解らず、そのまま攫ってしまう程に夢中になってしまう理由も解らず、思い悩む。
カイ自身は気づいていないが、これは恋である。
セイガと一緒にいるほどに、自分の情けなさや醜さが気になって心が傷ついている。
セイガは、カイの性的対象であると同時に、カイにとっての「こう有りたい自分」でもあったのだ。
セイガと出会ってからの彼は大きく変化し、初めて「生きていたい」と考えるようになった。

第二次人怪戦争に入ってからは服装が変わり、腕を雑にまくった黒いパーカーに破れた白いシャツ、そしてそこからは上半身が多く露出している。
身体のあちこちを包帯のようなもので巻いているが、これはもちろん出血止めではなくテーピングやサポーターと同じ意味合い。
また、ナイフの存在を隠さずに、ほぼつねに手に持って歩くようになる。
ただし、これで敵を攻撃することはない。自分の身体を切り、血肉の塊を露出させて、それを飛散させたりねじ切ったり圧縮したり爆散させたりして攻撃を行う。自身の血肉の塊で防御を行うこともある。
物語の最終局面になって、ようやくレリシス(朽ちた波)の正体が父であることを知る。
この材料は一歩早くセイガが手に入れており、再会時にようやくふたりともその事実に到達する。
カイはセイガの背に乗ってプリズンの上空、さらに約束の地まで飛んでいき、ようやく朽ちた波の核、レリシスにたどりつく。

◇魁星とは
「魁星(かいせい)」は、北斗七星のうち「斗(ます)」の形をなす部分の先頭の星を指し、転じて中国の科挙(官吏登用試験)で第一位の成績で及第した者や、学問・文運を司る神として信仰されました。特に「魁」の字が「鬼が斗(ます)を持つ」形に似ることから、斗を持つ鬼の姿で描かれ、受験生が「魁星点斗(かいせいてんと)」の像で合格祈願をしたことで知られます(魁星点斗の像は、鬼が斗を持ち、カメ(鰲頭)に乗る姿で表現されます)。
主な意味と由来
天文学的意味:
北斗七星(大熊座の一部)のうち、水を汲む斗(ます)の形をなす部分の第一番目の星。
神としての魁星(奎星・文昌星):
中国の道教で文運(文学・学問の運気)を司る神。
科挙の受験生の間で、及第(合格)を祈る対象として篤く信仰された。
文昌帝君(ぶんしょうていくん)という学問の神と同一視されたり、その脇侍(わきじ)とされたりもします。
「魁」の字の象徴:
「魁」という漢字は「鬼」と「斗(ます)」から成り立ち、鬼が斗を持つ様子を表す。
この「魁星が斗を点じる(さす)」姿は、科挙で第一位(「斗」=首、最上位)を取ることを意味し、「魁星点斗」として縁起の良いモチーフとなりました。
日本での受容
江戸時代には、書籍の出版時に「魁星印」が押されるなど、学問や出版に関わる中で「魁星」が用いられました。
このように、「魁星」は星の名前でありながら、それが転じて、学問の神、合格祈願の対象、そして第一位の象徴という意味を持つ言葉です。