セルジュ(Serge)

プリズンの第四層で、表向きは小さな町医者として開業している緑眼で白髪の男性。実年齢に反して外見はかなり若々しい。数少ない世界堂の常連のひとりで、元々はイザベラと同じ軍隊に所属する軍医であった。
現在でも、イザベラと同じ”組織”に所属しており、それも組織内ではかなり高位な人物らしい。組織の具体的な目的や活動内容は相変わらず不明。ただし、世界堂が只の会員制の喫茶店ではなく、この組織の会合の場としての側面も持ち合わせていることはある程度予想できそうだ(勿論、組織外の人間であっても会員となっている人々は決して少なくないが)。

物語では、聖河と魁のふたりがプリズンの下層に降りていたとき、とあるきっかけで乱闘になり、魁をかばった聖河が心臓付近に銃弾を負った結果、何もすることの出来ない魁が聖河を抱えて泣きじゃくっているところをたまたま通りかかって助け起こしてくれる。
以前、ふたりが世界堂に訪れた際にたまたま長居していたセルジュと入れ違いになったことがあったため(イザベラの頁に記した通り、彼女は魁が安心して店に訪れることのできるように、また彼(と聖河)だけにじっくり向き合う時間を作れるように、閉店後も毎晩店を開け続けている)、セルジュは二人の容姿を覚えており、そこからふたりがイザベラの養子に近い存在であることを察してすぐに彼女に連絡した。
彼の並外れた技術により、連絡を受けたイザベラが医院に飛んできた頃には聖河の胸の弾丸は綺麗に取り除かれていた。そのため、聖河の傍らで彼の命が失われなかったことに対する安堵と自分に対する怒りと情けなさで泣きじゃくる魁の背中を、彼女はをただひたすら優しくさすることしかできなかった。

聖河はそのまま暫く入院することになったが、勿論魁は彼の元を離れられず、かといってまだ碌な関係性もないセルジュとふたりきりで過ごすのは精神への負担が大きいとイザベラが案じた結果、イザベラも魁に付き添って医院でしばらく寝泊まりすることになった。日中は世界堂でいつも通り家事や各種の仕事をこなし、深夜になると医院へやってきて魁のかたわらで眠りにつくというぐあい。魁は、自身の性質によるものだとはいえイザベラにかなりの申し訳なさを感じていたようだが、イザベラは初めて魁と一緒のベッドに潜り、彼の髪を優しく撫でながら眠りにつけたことが内心では嬉しくてたまらなかったようだ。
イザベラの頁でも解説したが、彼女は魁に出会ってからずっと独りで生きる彼のことが心配でたまらず、養子として迎え入れて一緒の家で生活したいと考えていたものの、彼が「独りでいること」を絶対的に必要としている存在であることを理解していたからこそ決してそうしていなかったのである。だからこそ、一部分でもその願望が叶ったことが幸せだったのだろう。

今回こうして(いくらイザベラが居るとはいえ)常に聖河以外の他者が存在する空間で過ごすことに魁が耐えられたのには、彼の精神的な成長も大きく寄与していることだろう。

余談であるが、彼は自身の体に様々な美容整形を施しているらしい。但しそこに至るまでの特別キャッチーなエピソードがある訳でもなく、自身の技術を活かした只の趣味でしかない。

第2次人怪大戦以後は、魁がイザベラと再開したことをきっかけに彼とのつながりも回復し、人間たちを守る中で、回数は少ないものの時にエース級の活躍を見せながら魁をサポートしてくれる。