(シンボル:勿忘草(失われた愛の記憶、痛み)、ユリ(愛、献身、ほろ苦い))
純粋な人間。
セイガの母親。
純粋な人間のセイガと混血のカイを、一人で育てていた。
セイガが失踪して既に一年以上。悲しみのどん底にあったころ、奇しくもその弟で生まれたばかりの魁が半ば捨てられる形でリネに押し付けられた。そして、それとほぼ同時にセイガもたまたま家に戻ってくることになった。
リネにとって望まれない子供であった魁のことが心底疎ましかった彼女は、セイガを心底可愛がる横で魁のことを家の2階の鍵付きの部屋に閉じ込め、碌な世話もせず完全に放置していた。そんな彼女の目を盗み、セイガはときおり鍵を盗んで部屋に入っては魁のことを抱きしめて世話をしていたのである。
そしてこの時点で、長身でやせ細っていたあの魁とこの弟が同じ存在であることを彼は確信していた。それが何故か、そんな理由だなんてどうでもよかった。
あの兄が、あの今にも折れそうな華奢な手足の彼が、いまは胸の中に収まるほどに小さな赤ん坊として存在しているのである。これが平気でいられようか。
